せっかく築いた財産ですが、残念ながらあの世に持ってはいけません。大切な財産は最後の日を迎える前に、誰に何を相続するのかしっかりと遺言書に残しておきましょう。遺言書は形式があり、ルールに沿って作成しなければ効力を発揮しない場合もあります。自分の意思を残された方々に確実に伝えるために、コツやポイントを押さえ確実な遺言書を作成しましょう。ここでは遺言書を書く前の準備や、種類、注意点やコツについてお伝えしていきます。

遺言書を書く前に準備する事

相続する財産について

まずは現金や土地・証券など所有する財産について詳しく把握しましょう。リストアップするだけでなく、不動産なら登記事項証明書など証明する書類などをつけておくのがベストですね。長年培ってきたため、どこに何があるのか把握できていないという例も多くみられます。本人が把握できていないものを相続人が詳しく把握するには膨大な時間と調査が必要となり、大きな負担となりますのでしっかり整理しておきましょう。この時に、ローンや借り入れなどマイナスの遺産もしっかりと記載しておく必要があります。場相続放棄する目安ともなりますので、プラス・マイナスともに正確に記載するよう心がけましょう。

相続人は誰なのか

一般的な相続人とは配偶者、それ以降は第一順位が子や代襲相続、それがない場合には第二順位として父や母、次に第三順位として兄弟姉妹となります。遺言がない場合には、

子と配偶者なら、1/2ずつ

父母と配偶者なら、父母が1/3、配偶者が2/3

兄弟姉妹と配偶者なら、兄弟姉妹が1/4、配偶者が3/4

のように分配されます。
しかし、指定しておけば配分を変えることや、実子や配偶者など血縁者以外でも相続人に指定することは可能です。土地や現金などではなく、思い入れのある品を友人に託したい、趣味で集めたものを価値の分かる仲間に分配したいといった方もいらっしゃいます。また、事業をしている方の場合は後継者の指名や、事業を継続できる形での相続を模索する必要があるでしょう。もちろん、相続させたくない方を廃除することも可能です。

遺言書の種類

自筆証書遺言

遺言を残す本人が自筆で全文を書き上げるもので、パソコンの使用や他人の代筆では無効になります。自分だけで作成でき、内容が外に漏れる心配がないメリットもありますが、法律で定められた書式以外だと無効になるデメリットがあります。相続人に内容を知られたくない場合には、完成した自筆遺言書を公証役場に持参し秘密証書遺言として預かってもらうことも可能です。

公正証書遺言

公証人に依頼して作成してもらうもので、公証役場に出向くのが基本ですが、体調が悪い場合などは出張にも応じてくれます。遺言を公証人に口頭で伝え、公証人が作成するため自筆遺言書のように無効になることはありません。遺言のアドバイスなどももらえますが、費用がかかり証人を2人以上必要というデメリットもあります。

書く・作成する際の注意点

自筆遺言書は基本、全文自筆で書き日付と押印・記名が揃っていれば認められるのですが、書き始める前に遺言書作成のルールを必ず確認しておきましょう。また、相続人が読めるよう丁寧な字で書く、解釈が難しい表現を控え簡潔に書くことで相続人の混乱を防ぎます。番地などの記入ミスや名前の漢字を間違って記入している場合も多くみられますので、普段書き慣れているつもりでも登記簿や戸籍を取り寄せ確認して記入するよう心がけましょう。

遺言書をどこで作成する?

遺産を相続人が故人の意志に従い分配して相続するために遺言書はあります。自分で作成してしまうよりも司法書士や弁護士、行政書士など書類の専門家や、税理士など金融の専門家にみてもらうことで相続の混乱を防ぎます。遺産で揉めないために、プロに作成をお願いするのもおすすめです。